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渋谷路上俳会04 with safer space展

更新日:3月31日




3/13(日)に実施した渋谷路上俳会は、同日にSHIBUYA valleyで開かれた、safer space展とのコラボレーションを行いました。safer spaceというキーワードを念頭に、展示会場であるビル屋上のみを徘徊エリアに設定し、俳会参加者が共有する空間におけるそれぞれの居心地の良さについて顕在化・可視化する取り組みを試みました。

safer space展についての記事は下記リンクからご覧いただけますので、よろしければお目通しください。


safer spaceに関する記事はこちらから↓

https://www.shibuyavalley.com/post/safer-spaseってなに?


ということで、今回は路上俳会ではなく、屋上俳会という運びになりました。参加者には、屋上スペースに自由に座椅子を置いて頂き、それぞれの居心地がいい場所で会の始まりを待って頂きました。たとえ離れていてもお互いの声がよく聞こえるように、ラジオ回線とイヤホンマイクを使った会話デバイスのsilent DJを用いることで、個々人のパーソナルスペースを保ちつつ、お互いの声に耳を寄せることができる、ゆとりのある空間を設えました。


silent DJの紹介記事はこちらから↓

https://www.shibuyavalley.com/post/valley-s-diary01-好奇平凡日々碌録


参加者それぞれにマイクとイヤホンを手渡し、各々の声をデバイスを通して発し、聞き入れる。マイクを通すので、大声を出す必要も無ければ、目線を誰かに合わせる必要もない。展示を見ながら耳だけ参加してもいいし、屋上から渋谷の景色を見ながら深呼吸をしていてもいい。じっと見られてない分、話す方も気楽だから、ちょっと話聞いてる?なんて愚痴ることもありません。屋上だけで広がる、ミニマム・ラジオステーション。

第4回渋谷路上、もとい、屋上俳会には、春一番の到来を早くも過去にして、おだやかなそよ風が流れておりました。


さて、俳会開始です。参加者の皆さんには、屋上という限られた空間のなかで、40分ほど自由に徘徊をして頂きます。徘徊時間のなかで思い思いの写真を撮り、そこに5.7.5の言葉を添えていく本会。最中もsilent DJを身につけ、好きな曲のリクエストをしたりなんかしながら、DJが流すBGMに弾みながらの自由遊戯。safer space展の展示として屋上を彩るMay Drewや参加アーティストの作品は、俳会の大きな刺激になったようです。参加者が額縁をぱしゃぱしゃと撮る様子も見受けられました。


屋上という限られた空間を共有している参加者が、それぞれ個人の内で練り、つくりあげる俳句作品が、どんどんと完成していきます。「居心地の良さ」について考える時、心のうちで思っていること、考えていることを自由に言えない故の「居心地の悪さ」に思いが及びます。誰にとっても居心地の良い場、を形成することは、ひょっとしたらとても難しいことかもわかりません。しかし、皆が時に譲り合い、時に発信し合いながら、互いを(違いを)尊重しあえるような空間づくりへの取り組みを続けること、それが、safer spaceにおける大切な考え方のひとつです。俳会に参加していただく方の中には、俳句づくりに親しくない方も少なくありません。俳句に慣れ親しんだ方でさえ、季語の概念や字数の制限に頭を悩ませます。知識や経験に一日の長はありますが、その作品をつくる本人の感覚や、鑑賞した人の感想は、十人十色。日の体調や気分でも変わります。まっすぐのびた言葉が愛おしく感じるときもあれば、ちょっとそれなに?と探究心をくすぐられるようなものに惹かれることもあり、えも言えぬ感覚に言葉がでないことだってあります。そのひとつひとつの感覚や、正直な気持ちは、作品をつくった本人や、鑑賞した人しか持ち得ることがない、やさしくてたくましい力を持っています。俳句に限らず、音楽、絵、造形、自然、身体、情、いろいろなものをつくって、鑑賞して、それを通して思うこと、思わないこと。作品が私たちに開かれている以上、そこに優劣は生まれ得ない。俳会をしていて、そんなことを常々思います。

なので、渋谷路上俳会では、作品鑑賞を通した意見交流に重きを置きます。「他でもない他者」と、「他でもない自身」について、作品づくりと鑑賞を通して、同じように尊び、違うからこそ尊び、相互理解を深めていくことに本腰を据えています。


さて、夢想している間に徘徊終了の時間がきました。ここからは、鑑賞会です。今回の路上俳会で生まれた作品を、いくつかご紹介させてください。silent DJでゆるく繋がりながら、作品鑑賞タイムのスタートです。



最初の作品は、safer space展参加アーティストであるMay Drewの作品と、その先に垣間見える夜空と月を収めた一枚です。添えられた言葉は、「虹色の 湖畔の月夜に まどろむ夜」。「虹色の湖畔」は描かれた絵から発想を得たものと、この俳句作品を作ってくださった方が話してくれました。May Drewの作品は温かい色づかいをしていて、うちに秘めるエネルギーと優しさを表しているようにも見えます。そんな温かい額縁を、虹色(=レインボーは、個性の象徴として世界で語られてもいますね)、と言葉で表現した作者の、safer spaceへの想いを強く表出しているような句です。「まどろむ夜」に関しては、他の参加者からも俳会時の時間感覚として、大きな共感を呼びました。SHIBUYA valleyは、渋谷の中心地にありながら、街の喧騒からは距離を置いた、すこし不思議な空間です。周りには、valleyよりも背の高いビルが囲み、屋上ではあるけれど隣の建物の影が落ちてくるような、見晴らしのいい山頂ではなく、心地よい風の吹く都市の中の静かな隠れ家、とも言える場所です。そこで過ごした参加者の中には、境界線の曖昧な、半夢心地のような感覚を覚えた方もいらっしゃった。同時期に開催されていたsafer space展の盛況もあり、展示期間の賑わいから打って変わった、silent DJで楽しむ静かな屋上俳会の雰囲気は、まさしく夢のあと、のようでした。




続いては、防音シートを収めたこちらの一枚。添えられた言葉は、「きこえます? ぼくらのダンス サイレント」。さかさまの「防音」の二文字がブレイクダンスをしているように見取った作者の感覚が素敵です。「きこえます?」には、もちろん「防音」からのインスパイアもあるかと思いますが、この空間が秘密基地的(SHIBUYA valleyには、屋上秘密基地というキャッチフレーズが付いています)な顔を持っていることも相まって、ちょっぴり特別感に浸りながらの、ささやかかで可愛らしい自慢をしているような印象も漂ってきます。その上機嫌な「ダンス」が「サイレント」であることが、作者の温厚な性格を象徴しているようでもあります。




続いてはこちら。safer space展参加アーティストのハマモトソウタの作品を映した一枚。

添えられた言葉は、「◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯◯」(念の為、文字化けではありません)。この俳句作品の作者は、この作品を作った理由として、今回の俳会参加者たちは、まだ出会ったばかりではあるけれど、皆、似たような感覚を持ち合わせている、と感じていらっしゃり、敢えて言葉を使わずに届けてみたい、という方法を選ばれたとのことでした。実は、今回の俳会は、展示参加アーティスト含めて展示主催陣が多く集まる、皆顔見知り、な会であり、共に支え合い、刺激し合った仲でありました。展示期間を通して、作者が感じた居心地が、敢えて言葉を使わずに読み手に託す、というひとつの信頼の形として表出して、この作品に現れたと解釈することもできます。文字の代わりに、「◯」の形を選ばれたことも、とても穏やかな心地がします。「◯」の中にはこの作品を見た人が思い思いに、自由に文字を入れて良い。どんな文字も突っぱねずに包み込む、信頼や尊重の思いが、じっとそこに居てくれるような安心感を、この作品を鑑賞していると覚えます。



※残りの作品も抜粋の上、アーカイブさせていただきます。ぜひ、ご覧下さい。



鑑賞は活発な意見交流の場となりました。同じ屋上でも、徘徊する人によって、見るところ、そして感じることは異なります。自分と他者の違いに、俳句を通して触れ、知り、自分が気付かなかったことに気付くと同時に、相手が気付かなかったことに、自分の作品を通し気付かれる。そのどちらにも優劣はなく、ただ、気付きと理解がある場。一人では分からないことも、複数で取り組めば分かったり。私たちが共に生きるために、他者のこと、そして自身のことに、気付き続ける。今回の俳会は、そんなことを思わされる会となりました。

盛んだけれど、落ち着いた、ほっと安心感のある交流の時間が屋上では流れ、あれこれと感想を言い合いながら、まどろんだ夜さりに月は輝き、私たちの影は濃く濃く伸びていました。寒暖差で体調を崩しやすい時分です。名残惜しいけど、本日はこれにて解散。次は4月に、お会いしましょう。



次回の俳会は4/15(金)実施予定。代々木公園で開催予定です。

ご興味のある方は、instagram@syakyaknohama_(ハマモトソウタ)迄。


ライター/ハマモトソウタ

※SHIBUYA valleyにご興味がある方はDMを。

ゆるいメンバーが、ゆるくお返事させていただきます。













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