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渋谷路上俳句会03

更新日:3月5日


2月4日.金曜日.午後19時.

街の谷間の秘密基地.SHIBUYA valley


立春の日。屋上で測った気温は3℃を下回り、肌寒い、を追い越して、身の危険だって感じてしまうような厳しい風の立つ頃。梅の花がほころぶ予感はまだ致しません。


いつものように、石炭を焚いた自家製炬燵と、魔法瓶にたっぷり入ったルイボスティで暖をとりながら、渋谷路上俳会が始まるのを、ゆっくりと待ちます。


差し入れでいただいた羊羹を口にすれば、甘さと暖かさはとっても仲がいいのだと、改めて自覚させられます。しかし、どうしても咀嚼には時間がかかります。羊羹には水分がほとんどないからです。加えて、2月の街は乾燥の最たる時分に在るようで、いよいよ口の中は甘みでぬったり、飲み込めるまで、よくよく噛まなくてはなりません。


もごもご歯の裏にこびりついた羊羹と格闘しているうちに、本日の俳句会参加者が揃いました。やあやあ、みなさん殆ど初対面で。いつだって初めての相手と交わす言葉には慎重になってしまいます。


本日の参加者は6名。炬燵にきゅうきゅうに寄り合う中で、なにやら本のプレゼントをしている2人が居ました。その本を見れば、詩の巨人・吉増剛造の自伝ではありませんか。急に背筋が伸びるような思いが致します。更に、違うところでは、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の一節についての談議がされており…コレハ気ヲヌケナイゾ。


本日集まって下さった皆さんは、詩人だったり、季語に造詣が深かったり、ライターだったり、zineを作っていたり、兎に角、とっても個性的な面々であります。


さて、

ここいらで改めて、渋谷路上俳会についての簡単なご説明を致しましょう。


とあるビルの屋上=SHIBUYA valleyに集まった参加者は、1時間弱、渋谷の街で自由に写真を撮り、それに俳句(5.7.5、自由律でも良いし、季語なしも良し)をつけていく。


徘徊が終了したのち、屋上に戻り、炬燵を囲みながら皆が撮った写真と、そこにつけられた俳句について、あれこれ感想を共有する。


そして、解散。次回も参加してネ。


そんなゆるい会であります。街で自由に写真を撮ったり、普段行かない場所に足を踏み入れたり、ちょっと作家然とした気になるための言い訳になれば、と考えた俳会も、今回で3回目。


そんなこんなで今宵も渋谷路上俳会、スタートです。


ぱしゃりぱしゃりと、写真を撮り、スマホで文字を打って、普段は行かないところにだって行くための言い訳。1時間の自由遊戯。


集う人が異なれば、見える物も異なる。実に個性豊かな作品たちが出来上がりました。


渋谷の街を徘徊する6人が、6様の視点で物事を見つめ、古の言葉を自在に使いこなす人もいれば、仲間内で共有する秘密の言葉を混ぜてくる人も居り。




たとえば、この作品。


「アーテンは 誰も忘れない泡宇宙」


ホームレスの暮らす青屋根群の前に佇む、宇宙船のような遊具を正面から捉えた一枚です。「アーテン」ってなに?と皆が考える中、作者の方が言いました。


『今日、ここにくる前、「フーテンの寅さん」の「フーテン」を「アーテン」と読み間違えてしまったことがとっても印象的で、俳句に入れてみました』


一同、あんぐりです。とっても素敵ではありませんか。


泡宇宙とは多元宇宙論に拠る言葉で、宇宙は無数の小さな泡で成り立っている、ということを意味します。おそらく、メタバースのような感覚に近いのでしょう。


写真にある宇宙船のような小さな空間でのみ、意味のある言葉として満たされ、共有される「アーテン」という言葉の持つ純粋なエネルギーと、それを慈しむような作者の経験と目線は、とても抒情的です。


この写真も、「アーテン」も、「誰も忘れない」も、「泡宇宙」も、一つ一つが作者にとって実に正直な表出だったのです。


つくっておわりではなく、炬燵に温もりながら、作品について自由に話し合えるのも、俳会の醍醐味です。


この面妖な渋谷の街の輪郭を、1人で捉える怪力はありませんが、こうして夜に隠れて路上俳会です、と辛うじて言い訳をしながら、皆が目撃した渋谷を皆で分ち合う時間を通して、少しでも、この街のことを知ることができれば。


今宵は、1時間の俳会で32の作品が産まれました。一部ですが、下に掲載致します。小さな展覧会でございます。ゆるりと、ご覧くださいませ。


それでは、また。


次回の開催は3月13日(日)19時予定。

ご興味のある方は、

instagram ハマモトソウタ(@syakyaknohana_)

まで。


ライター/ハマモトソウタ























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