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SAFER SPASEってなに?

更新日:5月11日

【SAFER SPACEってなに?】

safer spaceとは、様々な社会的背景を持つ人が集まる場において、互いをできる限り尊重し、暴力や差別を最小化し得る空間を構築していくための、終わりのないプロセスをいいます。2022/3/12-13にSHIBUYA valleyでは、safer spaceという言葉にインスパイアされたアーティスト2名による作品展示と、来場者の参加型のアート作品を展示しました。

こちらの記事は、2022/3/12に行われたアーティスト・クロストークの記録記事になります。誰もが居心地の良い空間はどうしたら作ることができるのでしょうか?


★目次

【Introduction】

①May Drew アーティスト自己紹介

②堅田香緒里 社会福祉学者 自己紹介

③Shuhei 歩くLove &Equality 自己紹介

④杉原 賢 SHIBUYA valley storyteller 自己紹介


【Safer Spaceレクチャー】

①個人的なことは政治的なこと 〜personal is political〜

②路上とジェンダー

③より安全な空間 safer spaceとは

④市民運動・社会運動の場は"安全"?

⑤セーファースペースの起源

⑥セーファースペースは「避 難所」ではない

⑦セーファースペースの ポリシー作り

⑧わたしの、あなたの、特権は何だろう?

⑨ジョージ・オーウェルの世界?

⑩safer space的な場づくりの実践例 〜ゆるフェミカフェ〜


【Introduction】

May:こんにちは。東京を拠点にアーティスト活動をしているMay Drewと申します。今日はご来場いただきありがとうございます。

今回の展示会safer space展は、異なるバックグラウンド、価値観を持つ私たち現代人が、いかにして、よりsaferで居心地の良いコミュニティを作るにはどうしたらいいのか、皆んなで一緒に考えられたらな、というコンセプトで開催をしております。

今回のsafer dinnerでは、個性あふれる私達4人のクロストークを聴きながら、お互い普段の生活で見えていなかった問題について気付いて学ぶような、そんな会にしたいなと思っています。


①May Drew アーティスト 自己紹介

May:ここで少し私についてお話をさせていただきたいと思います。

今回、SHIBUYA valleyさんと一緒に主催しているMay Drewです。

グラフィックと麻を使ったアートの創作をしています。テーマとしてはボディ・ポジティブとか、インクルージョンを掲げて、アーティスト活動をしています。

「ありのままの姿を受け入れて愛する」という素直で柔軟な気持ちを力強い女性のエネルギーに絡めて表現活動をしています。

今回のsafer space展のコンセプトは私のアートの軸であるインクルージョン。共に生きると書いて「共生」と訳しているのですが、インクルージョンと深い繋がりがあります。

また、詳しいお話はトークの中でさせていただければなと思います。


②堅田香緒里 社会福祉学者 自己紹介

堅田:はじめまして。堅田香緒里です。普段は法政大学の教員をしていて社会学部というところで、福祉のことを教えたりしています。今日は、私がちょっと前に出した本を、Mayさんが読んでくださり、前回やられたMay Drewさんの冬の個展で、私の本を取り上げてくださったことをきっかけに、今日呼んでもらいました。「生きるためのフェミニズム 〜パンとバラと反資本主義〜」という過激なタイトルの本です。笑

杉原:本のタイトルからはパンチ力を感じますが、堅田さんは、対照的な柔和な雰囲気を持っていらっしゃいますね。なんかギャップにぐっときますね。笑

堅田:ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いします。笑


③Shuhei 歩くLove &Equality 自己紹介

Shuhei:今回お話をさせていただく修平と申します。普段は会社員をしていて、今回お話をさせていただくにあたって、自分の肩書きに「歩くLove&Equality」をつけさせていただきました。ちょっとクサい肩書きかもしれないですけど、私自身が育ってきて、社会通念的に向けられる男性らしさとかジェンダーロールというものに疑問を持ちながら育った経緯があります。

後ほどこういう活動をするきっかけになったところをお話させていただくんですけど、今、一般社団法人VoiceUPJAPANというところで活動していて、ジェンダーであったりセクシュアリティ、人種、国籍、宗教関係なく誰もが平等な権利を有する社会というものをビジョンとして掲げた団体で、どうマイノリティの権利をより良くしていくか?というようなことを議論したりしております。

今回、safer spaceをテーマにお話させていただく機会をもらえて、すごく楽しみにしております。よろしくお願いします。


④杉原賢 SHIBUYA valley storyteller 自己紹介

杉原:僕は、この場所SHIBUYA valleyのメンバーで、 story tellerという肩書きをいただいておりまして、トークイベントとかで司会をさせていただく機会が多い感じです。本職はジュエリーデザイナーをしておりまして、自分の会社はSWITCH DE SWITCHというんですけれども、その会社は、ダイバーシティ・インクルージョンとか、そういうものをテーマにした会社で、会社の運営する事業の一つとして「ふたり指輪 connect」という、関係性を限定しないペアリングのブランドも、運営しております。

「見えないを価値にする」と僕らは言っているんですけれども、境界線がいま、ダイバーシティと言われてる時代で、ありすぎる。しかもその境界線が見えすぎるのを僕らは問題として捉えてるんですけど、境界線を作るのではなく、全ての境界線を包括する、それを僕らは「見えないを価値にする」と言っています。

そういうテーマ性を持って事業の開発をしているので、個人的にもすごい会社のテーマとも合ってる今日の議題だなと、興味深く、のぞませていただいております。


【Safer Spaceレクチャー】


杉原:4名の自己紹介を終えたので、safer spaceとは何なのか?堅田さんにご説明いただきます。

堅田:よろしくお願いします。今日はsafer spaceって何だろうということを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


①個人的なことは政治的なこと 〜personal is political〜

堅田:今日お話する前に、簡単に私の自己紹介もしておこうかなと思います。

私がこのsafer spaceを考えるきっかけが、自分自身の経験にあるからなんですね。「個人的なことは政治的なこと」というのは、personal is political.

フェミニズムのことを少し知っている人は多分聞いたことがあるフレーズだと思うんですけど、例えば、政治運動というと、デモとかイメージすると思うんですけど、デモとしてイメージされると、だいたいそこにいる人って男性じゃないですか。男性が拡声器を使って大きな声でデモをしている。そのデモを支えてる女性が陰でおにぎりを握っている。

裏で女性がおにぎりを握っているみたいな問題って、パーソナルな問題として政治化されてこなかったんだけど、実はそうやって、男はデモで女はおにぎりみたいなジェンダーロールですよね。それは、パーソナルなこととして処理されてきたけど、本当は政治の話なんだということを、女性たちが訴えていった。そのスローガンが「個人的なことは政治的なこと 〜personal is political〜」になります。

だから、一見すると自分のパーソナルな経験だと思ってることもすごく大きな政治的な問題に繋がっていることがある。皆さんもそうなんじゃないかなと思います。


②路上とジェンダー



堅田:じゃあ、私の個人的なことは何かというと、私は学生のときに野宿をしている女性とたまたまお友達になって、それがきっかけで路上に入り浸りようになって、特に大学生のときがそうだったんですけど、ほぼ大学に通わないでひたすらの路上に通っている生活をしてました。 

その時に、自分も一応大学へ通っているんだけど、いずれ路上に生きる仲間になるんだろうなと思って、何回か路上生活にチャレンジしたりしたんですが、体を壊して挫折をすることを繰り返していました。

そこで、路上生活してる人を支援するような団体に入り、支援者として活動してみようかなとか、路上生活の人たちの生活条件を向上させるような社会運動活動家になってみようかなとか、いろいろ路上周りで動いてたのですが、なかなか一つのところに留まることができず、ずっと中途半端だったんですね。

10年ぐらいずっと路上にいるんだけど中途半端だった。 なんでだろうとずっと思っていて、路上は私にとってすごく大事な居場所だったんだけど、同時に、そこにいるとちょっと不安とか恐怖を感じてることもあった。つまり私にとって路上は完全に安全な場所じゃなかった。皆さん、ホームレスと聞いたとき、どんな人をイメージしますかね。多分、中高年の男性だと思うんですよね。

それは正解で、統計的にも日本の路上生活者の9割以上が男性なんですけど、圧倒的にホモソーシャルな空間で、当時の私は若くて女性で安心を感じることができなかった。


③より安全な空間 safer spaceとは

堅田:そこで考えるようになったのが「安全な空間」とは何だろうということ。

safer spaceというアイディアとそこで出会うのですけど、safer spaceは何かというと、無理やりまとめるとこんな感じです↓

「差別や抑圧、あるいはハラスメントや暴力といった問題を可能な限り最小化するためのアイディアの一つで、より安全な空間をつくる試みのこと」を指します。

このsafer spaceのすごく大事なポイントがsafeではなくてsaferというところです。

「安全な空間 safe space」ではなくて、「safer」という比較級が使われてることによって「より安全な」という意味合いになってきます。というのも、safer spaceという概念の背景には、「全ての人がいつでも安心できるような完全に安全な空間は存在しない」という前提があるのです。これ、当たり前っちゃ当たり前ですよね。

誰かにとって心地のいい空間が、別の誰かにとっても同じように居心地がいいとは限らないというのを私達は経験上知っていると思うんですけど、それを一旦引き受ける。

みんなにとって完全に安全な場所はない。でも、だからといって、それじゃもう無理だと諦めちゃうんじゃなくて、それでも、より安全なsafer spaceを、みんなと共同して作り続けていこうという、そういうプロジェクト。未完の、終わりのないプロセスだということです。こういう場所をみんなと一緒に作っていくことをやっていきたいと思っています。


④市民運動・社会運動の場は"安全"?

堅田:私自身はいわゆる市民運動とか社会運動とよばれるラディカルな場にずっと関わってきたんですけど、そういう場所って社会をよく変えていくためとか、あと抑圧されてる人とか、脆弱な人たちの暮らしを良くするため、みたいな、麗しい社会正義の理念を大事に行動している。だから、社会運動とか市民運動の場には、差別とか抑圧とか、ましてやその暴力なんて存在しないと私達は思いがちです。

しかし、社会運動だって社会の中で展開されている以上、社会における権力関係とか支配的な価値観から自由でいられるわけじゃないですよね。実際、残念ながらこれまでも、社会正義の要求を掲げた団体の活動の内部で、ハラスメントとか性暴力についての告発が行われてきたように思います。渋谷だと、社会派ドキュメンタリーとかを取り扱う映画館アップリンクでハラスメントが内部から告発されたりとか。それだけじゃなくて、結構社会正義をうたうような団体の中でハラスメントとか性暴力というのは告発がいっぱいされてきた。

だけど、そういう告発は、社会運動以外の場で生じる場合と比べると、不可視化されやすいと言われています。栗田隆子さんというフェミニストの方は「社会運動の中で生じる性暴力や差別問題は内部の分断をもたらすといった理由で公に語ることはタブー視されがち」とおっしゃっています。つまり「より高尚な、社会を変える目的のために動いているのに、内部の些末な性暴力の問題を持ち出して、分断をして運動を頓挫させるのはあってはならない」みたいな風潮があるともおっしゃっていました。


⑤セーファースペースの起源



堅田:確かに、今言ったように社会運動の場にも差別とか暴力はいっぱいあるんだけど、同時にこういった問題をなかったことにしないで、safer spaceを作っていこうという動きも、元々は社会運動の場から生まれてきました。

最近、英語圏でsafer spaceというのがすごく取り上げられるようになった理由の一つに、ショーノ・ポッターというフェミニストハードコアパンクバンドの女の人がいます。

彼女はミュージシャンなので、自分の活動の場がライブハウス。ライブハウスは夜だし暗いし、性暴力が起きやすいということで、自分が活動するライブハウスの場所をよりsaferにしていこうという活動を地道にはじめていました。

そこから、safer spaceに関する本を書くまでにいたり、その本が出版され、safer spaceっていう言葉が理念として広がっていきました。元々は社会運動の場から生まれた概念なんですね。

それが今から20年ぐらい前の2000年代、グローバリゼーションによってもたらされた色んな問題が明らかになってきた時期に、反グローバリゼーションの運動が世界中に広がっていった。それと同時にsafer space運動がはじまってきました。

なぜかというと、例えばG8サミットみたいな重大な会議が開催される時に、世界中から活動家たちが開催地に集まって、共闘するようになるんですね。そのときに、世界中から集まってくる活動家たちには宿がないので、スクワッティング(不法占拠)したりとか、DIYでキャンプ設営場を自分たちで作って、世界中から集まった活動家が一定期間寝泊まりして、共に生活できるようなスペースを準備することも、運動の一環として行われるようになりました。

運動がグローバル化したことで、様々な多様な人が一堂に会して寝泊まりする場作りが求められるようになった。そうなると、当然そこにはジェンダー、階級、障害、エスニシティ、言語、セクシュアリティいろんな面で異なる社会的背景を持つ人たちが一堂に会することになります。

異なる他者と空間を共有する中で、偏見とか差別に基づくハラスメントとか暴力が問題化することも運動の中でもちょこちょこ見られるようになってきた。その典型の一つが性暴力だったんですね。safer spaceの試みというのは、問題が起きたときにすぐに警察に解決を委ねるものではないんです。というのも運動というのは、おおむね警察とは敵対的な関係にあるので、警察に解決を委ねるのじゃなくて、運動コミュニティの中でどうやって解決していこうか?ということを模索するようになっていって、取り組まれはじめたという感じです。


⑥セーファースペースは「避難所」ではない



堅田:safer spaceですごく大事なのはsafeではなくsaferだということを先ほどお伝えしたと思うのですが、safer spaceを考えるときに、もう一つ大事だと私が思っているのが、safer spaceは「避難所」じゃないということなんですね。

全体から隔離された部分として設けられる避難所とか、駆け込み寺のような場所じゃないということです。

例えば、電車だと、痴漢が多い日本では女性専用車両というものが設けられていますよね。一方、safer spaceでは、全ての車両、全ての空間をより安全にしていこうという考え方になってきます。

女子供はとりあえずsafer space的な避難所に押し込んでおけばいいという考え方ではなく、社会の場、全体をより安全にしていく、そのための挑戦が、safer spaceという言葉の奥の意味合いにあります。


⑦セーファースペースの ポリシー作り

ここからは、safer spaceを具体的にどんな感じで作ってったらいいのかという話をしていきます。safer spaceのアイディアは、その場全体を、そこにいる誰もがより安全でいられる空間にするために、共有すべき方向性、ルール、あるいはポリシーの作成を要請します。

ここで、2007年にシドニーで開催されたAPECに対する抗議行動にあわせて持たれた集まり「フレア・ イン・ア・ヴォイド(F.L.A.R.E. in the Void)」 によるセーファースペースのポリシーを紹介します。


わたしたちは協働してスペース(人びとの関係によって創られる場/空間)を創っていきたい。安全だといえるスペ―スを。

わたしたちの物語と経験を、わたしたちの痛みと怖れを互いに尊重し認め合うスペースを。わたしたちのもっている特権を問い直し、そしてわたしたちの関係性と交流において抑圧、攻撃、周縁化、不平等のない世界に向けて生きるためのスペースを開きたい。これはサバイバーを中心に据えたスペースなのです。(中略)


このラディカルな空間創出の作業と並行して、

わたしたちは自分の持っている 特権を問い続ける必要があります。あなたの持つ特権があなたのまわりの人びとにどういった影響をもたらすのだろうかと。

あなたはしゃべりすぎていないか? あなたは議論を仕切っているミドルクラスの男か? 女の上に立ちはだかる男か ? しゃべりすぎている高学歴の女か? まわりを見回して、誰の声が聞かれていないのかを考えてほしい。他の人がしゃべることのできる空間を開く努力をするのかどうか、それはあなた次第なのです。(中略)


わたしたちがここに集まったのは、スペースを共有し、わたしたちの出来ることと出来ないことのすべてを認識し、共に生きる方法を見出すためです。

わたしたちは、これまでその声を聞き取られてこなかった人、存在しないことにされて きた人、忘却されてきた人たちのための空間、そして、コミュニケーション(言語/理解)の違いが切り捨てられないような空間を作るためにここに集まったのです。


とても感動的な文章です。

続いて「フレア・ イン・ア・ヴォイド(F.L.A.R.E. in the Void)」 の人たちが考えた具体的なポリシーが、次のようにいろいろと挙げられています。


・より安全な宿

・DIY育児

・集会スペースと宿泊 スペースのアクセス

・警察 について の ポリシー/私服 警官と治安 について

・苦情対応委員会/苦情とは何か?

・理解と尊重/相手を尊重しない態度

・情報について

・より安全な空間/セーファースペース についての補遺

・他者の空間の尊重

・性/ジェンダー、人種、セクシュアリティ、階級、年齢、能 力、宗教、親であること、受け入れること

・コミュニティについて


⑧わたしの、あなたの、特権は何だろう?

こちらの文章にもありましたが、safer spaceを考えるときに、私が大切だと思っているのが、特権について問い直すことです。私の特権、あるいは、あなたの特権は何だろう?ということを考えつづけていきたいと思っています。

繰り返しになるんですけど、safer spaceは、階級、人種、ジェンダー、障害、セクシュアリティなどが異なる人たちが互いに尊重し合う空間を共同で作っていく営みです。だから当然社会的な関係性とか地位に基づいた差別抑圧、ハラスメント暴力は容認されないわけです。

本気でそういう空間を作っていこうと思ったら、他者の行為や特権と共に自分自身の行為や特権について観察し、継続的にこれを問い直していくことが求められると思います。

残念ながら私達は他人の特権にはとても敏感だけど、自分の特権についてはなかなか気づきにくかったりするので、だからこそ、そういったことを問い直すことが大切になります。

もし私達がここの場所は安全だとか、ここの場所にはハラスメントは存在しないというふうに、もし考えているのだとすれば、それは自分は知らないで済む立ち位置、つまり特権的な立ち位置にいる可能性があるということを、常に考えておく必要があるのかなと思います。


⑨ジョージ・オーウェルの世界?



こう言うと、safer spaceってちょっと息苦しいというか、すごいポリティカル・コレクト(政治的に正しい振る舞い)を常に求められちゃう息苦しい世界のように思えちゃうかもしれないんですけど、さっき言ったショーノ・ポッターさんは、こんなふうに言っています。

「safer spaceというのはラディカルなアイディアでも、正しい運動のシーンに特権的に与えられるものでもない。ジョージ・オーウェルが言うようなビッグブラザーが認めてないことは何も発言できないポリティカル・コレクト(政治的に正しい振る舞い)じゃないことは何も発言できないような厳しく統制された世界ではない」

カチッと考える必要はなくて、safer spaceの試みは「ただありのままでいるだけで、嫌がらせや暴力の対象になってしまうような人たちの尊重をただ促進するという、シンプルなことに過ぎない」と言っています。

その意味で、私達はもういつだって、そして日常のどこにでも、より安全な空間を作り出すことができるんです。


⑩safer space的な場づくりの実践例 〜ゆるフェミカフェ〜



杉原:ちょっと質問してもいいですか?女性専用車両のお話があってすごい分かりやすいなと思ったんですが、一般に普及しているsafer space的な仕組みやサービスみたいなものってありますか?

堅田:私が昔、友人たちと一緒に「ゆるフェミカフェ」というフェミニズム・コレクティブみたいなことやっていて、その場所で何やったかというと「キッズスペースをみんなでどうやって作ろうか?」というのを考えたんですよね。

よくお子さんがいたりすると、こういうイベントに行けないとか、託児所があるかどうかとか、あと夜の時間だったらいけないとかいろんな制約になっちゃったりするじゃないですか。でも、子供がいる人でもいない人でも、saferに集まれる空間を作りたい。そう思って託児所みたいな空間を設けようと思ったんだけど、託児所を隔離してくると、それは避難所になってしまう。

そこで、会場のど真ん中に子供が遊べるおもちゃをたくさん散らして、マットレスを置いとくと、大人も子供もど真ん中で遊べるから、トークイベントだったんですけど、トークする人がお話してる最中も子供がワーキャー真ん中で遊んでいたりするんだけど、それも含めて良いよねっていうことになり、そういうsafer spaceをつくる取り組みをしました。いろんな空間で工夫して考えることができると思うんです。

May:社会全体で、より安全で、皆さんが参加できるような空間を作るというのが、safer spaceなのですかね。

堅田:みんなが最高に幸せではないと思うんですよね。子供の声が聞こえない場所で静かにトークを聞きたいという人も当然いると思うんだけど、少しずつみんなが小さな我慢をもしかしたら強いられるかもしれないけど、より安全な空間作りにみんなが協力するというのは、そんな感じだと思います。

杉原:なるほど、ありがとうございます。誰かに限定してクリティカルな答えを作る、というわけではないんですね。

堅田:ちょっと思ったのが、障害のある子供たちを、分離教育するか統合教育するか?みたいな議論もそうかもしれなくて、最近だと発達障害の子だけ分けて、教室を作る。そうすると健常者の子供たちが、勉強のスピードを遅らせずに学ぶことができるという。

これって、"反safer space"的な営みだと思うんですけど、そういうのもありますね。

それをどうやっていくか?という、一緒にやっていくための工夫を考えていく。

May:一緒にやって、みんながより自己実現ができるような空間にするにはどうしたらいいのか?をみんなで考えて、意見を出し合う。そういった活動がsafer spaceになるわけですね。

杉原:お話を聞く前は、すいません。啓蒙によるルールの策定みたいなことなのかな、もしくはシステム作りなのかなと思っていたんですけど、基本的に考え方は両軸あるんですね。

堅田:おっしゃる通りだと思います。

杉原:すごい面白いなと個人的には思っております。有難うございました。safer spaceの説明は一旦、ここで終わりです。









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